歳を重ねる毎に呼ばれることが増えてくる、冠婚葬祭の行事の中でも定番の法事は、亡き人の供養と共に親族が集まる良い機会でもあります。
親族の方が亡くなった場合には葬儀の時から始まって四十九日、1周忌、3回忌などの法事が続きますので、身内で亡くなる方が続けば当然法事の嵐となり、飛行機や新幹線であちこち動き回る時間と費用がかさみますが、やがては自分も皆の世話になる身であることを思えば、どんなに遠方であっても万難を排して駆けつけるしかありません。
愛媛県松山市での葬儀の参列者が新型コロナに感染したというニュースは衝撃的でしたが、葬儀はある意味コンサートやライブ以上に濃厚接触の可能性がありますし、飲食も伴いますので、クラスターが居れば爆発的に感染するであろうことが容易に想像できます。
葬儀は規模を縮小したり最大限のコロナ対策を行った上での実施は可能ですが、全国的な傾向として法事の中止、キャンセルがとても多く、特に地方の過疎地での寺院では運営に困窮している事態が多発しています。
普段でさえ檀家が減って収入が少なくなっているのに、3密を避けて外出を自粛している世の中で、皆の安全のために中止しますと言われれば住職も返す言葉がありません。
法事に参加するのは高齢者ばかりという事情もあり、万一のことがあれば取り返しのつかないことになってしまうのです。
僧侶派遣サービスではスマホの画面でオンライン法事が出来るサービスを開始したということですが、今時はオンライン授業やオンライン会議、オンライン飲み会などがスマホで出来る時代であり、オンライン法事も発想としては有りだと思うのですが、法事としての形は提供できるかもしれないけれど、中身が届かないのではないかと思いますし、果たして届ける中身があるのか、もっと言えばオンラインで中身を届けるだけの資質の人が行っているのかが全く伝わってこないのです。
法事は亡き人の供養と、生きている人の幸せを祈る場であり、生きている人から「拝んで頂いて本当に助かりました」と言われるようなものでないといけません。
寺院でも法事が無いから、収入が無いから拝まないということではなくて、こういう国難の時にこそ普段以上に必死で拝み、檀家さんに対しては毎日拝んでいますからご心配なく、ぐらいのことがサラリと言えるようでないといけません。